2013年2月7日木曜日

朝早く家を出る。今日はビザ申請の日だ。
台湾の大使館に当たる施設は東京と大阪にしかないので大阪まで行かねばならない、しかも朝11時半までに。さらに即日発行の料金を払うことでやっと今日ビザがもらえる。普通は翌日発行だ。
すべてが順調にいけば十分に間に合う。順調ならば。五分や十分でもたついて新幹線に乗り遅れば間に合わない。
朝九時に愛知県県警で無罪証明書を受け取り、タクシーに飛び乗り、新幹線に駆け込む。予想より一本早いのに乗れる。
新大阪からJRで大阪駅まで移動しタクシーに乗る。到着は10時半。完璧だ。
時事上の領事館やら大使館という面倒な説明のいる台湾の施設にはいる。ズラッと項目ごとに一個ずつの窓口、番号札すら無い。
窓口の台湾人のオバサンに結婚のビザの申請だと伝えて必要書類を渡す。顔写真、無罪証明書、日本の戸籍謄本二通、健康診断、ネット申請の画面をプリントアウトしたもの。
するとオバサンがネットの申請のプリントアウトした紙を観てまだ完了してないから、ネカフェで完了させてプリントアウトしてこいという。
地図を貰ってビルを出る、しかし地図が雑で全然わからない。今の時間は11時。三十分後に戻らなければダメと言われてもおかしくはない。
WiMAXのルーターを持ってきていたので一日契約し、ネット申請を終わらせる。あとはプリントアウトだが近くにファミマとローソンしか無い。セブン-イレブンがあればJEPGでもプリントアウトできるが。
受け付け番号があれば大丈夫だと思い、しょうが無いので戻り画面を直接見せて受付させる。
オバサンは私に言うとおりにやれば、早く終わるからとぶっきらぼうに私言い、てきぱきと雑に指示を始めた。この申込書をかけ、あっちで金を払えどうのこうの。
サイトには即日発行には追加料金が必要と書いてあったが、配偶者のビザは追加料金無しで即日発行らしい。前日にここに電話してファックスしてもらった資料には即日発行の場合は受付が3時までと書いてあったが受付のオバサンはダメだと言っている。
これが台湾のお役所仕事だ。全てがあてにならない。唯一の答えはその時の窓口担当者の言葉。事前にサイトをどれだけ詳細に調べうが、電話しようがひっくり返される。
デタラメだが良い奴ってのが台湾のいいところ。窓口のオバサンも愛想は大してないがキッチリ、さっさと処理して、二三時間後に来いと私を追い出した。
近所でメシを喰い時間を潰し戻る。時間通りに行くと珍しく、ビザはできていた。パスポートに私の写真入りのビザが貼り付けられている。といってもこいつは入国用の暫定版。台湾に入国して15日以内に移民局にいって手続をしなければならない。
ともかく終わった。ただの事務処理だったが、キチキチの綱渡りの予定だったのでそれなりの達成感はある。
さぁ帰るかと思った。が、ここは大阪だ。下らん事務処理だけして帰るバカがどこにいる?
取り敢えず難波まで移動する。難波を歩き回りながら考えた。一晩遊ぶくらいの金はある。これから台湾に移ってしまえば遊ぶ機会はもう無いだろう。無いだろう。
遊ばない理由を私の頭脳は思いつかなかった。フラフラと歩きまわり遊びまくる、と決意した頃にはちょうど晩飯どきだった。
取り敢えず景気付けにふと目にしたすっぽん料理と書いてあった居酒屋に入る。表に出ていたメニューにはすっぽんコース8000円とあった。決して高くはない。
まだ時間が早いので店に誰もいない。私はカウンターに案内され、若く男前の板長にすっぽんコースを注文した。
8000円というお手頃価格なのに接客態度は高級店だった。板長はカウンターに座った私に料理の説明やら何やら色々話しけてくれた。客は私一人だったがもうすぐ来るらしい宴会の準備をしながらなのでまるっきり暇というわけではない。
メインのすっぽん鍋が出てくると仲居さんがひとり私の隣に付き、鍋に具材を入れるのもそれを取り皿にとってくれるのも全てやってくれた。
私が最初のビールを飲み干し飲み物のメニューを見ていると、飲み物はビール以外だいたい1000円くらい。一番高いのはヒレ酒の1200円。
さてどうするかと私は迷った。どうせなら1200円いってしまうかと、思った所で板長が私に試したいメニューがあるがどうですか?と声をかけてきた。
板長はハイボールなのですがと続けた。恐らくメニューを見ながら迷ってる私を見て助け舟をだしてくれたのだろう。目の前に座ってるとはいえよく客を観てると感心した。迷ったといっても一分かそこらだろう。
私はありがたくハイボールを注文した。料理が美味いのでハイボールもいつの間にかなくなっていた。
これだけ料理も旨くて、サービスも最高なら多少金を落した所で全く惜しくない。ヒレ酒を頼もうと思った時に、板長が結婚祝いにヒレ酒をごちそうさせてくださいと言った。私は快くヒレ酒をご馳走になり、更に二三杯は継ぎ足せるので遠慮なくの言葉に甘え二杯目を飲みながら、本当は80000円じゃないのかとあまりのサービスの良さに訝しんだ。が、80000円でも惜しくないと二杯目を飲み干し勘定をしてもらった。
値段は8000円プラスビール代一杯のみ。板長がなぜ初めて来た旅行者の私にこんなに良くしてくれるのかさっぱり分からないが、これが本当のサービスなのだと私は思った。
バイトの店員が形だけ客に膝をついて、喜んで!!威勢よくと絶叫するのなどクソだ。
私は出口まで送ってくれた板長に必ず妻をつれてまた来ると約束し店を出た。
出だしは好調。夜は始まった。

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